原体験の旅~”べき思考”からの解放~
”The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅”
私にとっての原体験の旅は、20の頃妹と行ったインドの旅。伯父のインド出身の知り合いがチケットを取ってくださり、ムンバイからアグラ、アジャンタ、エローラ、ジャイプールそしてデリーへと抜ける約1か月の旅です。
ヒンドゥー教、ガンディー、タージマハル…。学の浅い私の知っているインドはそのくらい。勧められるままのコースを、妹と2人で巡る旅。どこへ行っても、土埃と喧騒、そしてカレーのにおい立ち込める町に、大声で話しかけてくるインド人。怒られてるのか、商売をするつもりなのか、はたまた優しさなのか…。なにもかもが強烈すぎて、旅が始まってそうそうにホームシックになってしまいました。
それでも、やはりインドは素晴らしい国。朝焼けに照らされたタージマハル。たたずまいだけで圧巻のアジャンタ、エローラの石窟。散歩をするだけでワクワクしてしまうカラフルな街並みのジャイプール。偉大な先人たちの生きざまが垣間見える遺跡に次々と出会い、ちっぽけな自分がむしろ痛快になる毎日でした。
そんな中、ジャイプールで出会ったおじさんの一言は、私の心の持ち方を大きく変えてくれるものでした。道端で出会ったそのおじさんから、何かを問われ、少し考え込んでしまった、私たち姉妹。そのときおじさんはこう言いました。
”考えてはダメ。考えるとブスになるよ。”
考えたらダメ??よく考えなさいと言われたことはあっても、考えるなとアドバイスする大人に今まで出会ったことがあったでしょうか?日本にいたらきっと受けないであろうこのアドバイスと、いちいち常識を破ってくる旅の毎日が相まって、この一言に大きな衝撃を受けてしまいました。
それまでの私は、何事も”~すべき”、”~しなきゃいけない”と考え、とても窮屈な思いをして生きていました。けれど、一歩日本を出ると、今まで自分が正しいと思っていたことは、別に唯一無二の正解だったわけではなく、常識でもない。すべきことなんて一つもないんだと思うと、急に心が楽になりました。
以来、私は”~すべき”という考え方を”べき思考”と呼んでいます。べき思考から解放されると、人生の選択肢は増え、今までよりもっと自由でいろいろなことにチャレンジしている自分に気づきました。
大きな影響を与えてもらった、インド。きっと、そこにはもっともっと魅力的でたまらない世界がまだまだ待っているはず。また再びインドに心揺さぶられる日が待ち遠しく、わくわくが止まりません。